- 採用オウンドメディアの基本的な仕組み
- 採用オウンドメディアを運用するメリットとデメリット
- 成功事例や導入の具体的なステップ
採用オウンドメディアは、企業が自社で運営するメディアを通じて、求職者に直接アプローチする採用手法です。求人サイトや人材紹介サービスでは伝えきれない企業の魅力や価値観を効果的に発信できるため、優秀な人材の獲得に向けた手段として注目を集めています。
本記事では、採用オウンドメディアの基本的な概要から、メリット・デメリット、導入の具体的なステップを詳しく解説します。採用活動を強化したい、または採用手法の見直しを検討している企業の方は、参考にしてください。
COOMIL(クーミル)株式会社 代表取締役。神奈川県出身。東京薬科大学大学院を修了後、大手製薬会社にて研修開発に従事する。2016年にファングロウス株式会社を創業し、マーケティング、広告運用、YouTube、SEO対策を駆使し、2年で売上1億円強かつ利益率40%強の会社へとグロースさせ、株式譲渡。YouTubeチャンネルのプロデュース・原稿制作・出演・撮影・編集の全てを自ら行い、運営10ヶ月で登録者数1万人突破させる(現在3万人越え)。IT業界だけでなく実店舗経営の知見を活かし、クライアント様の課題の本質を捉えて、「結果が出るマーケティング施策」をご提案致します。サイトを公開後も運用をお任せ頂き、サイトだけでなく「事業規模の拡大を目指す」ことがクーミルのモットーです。
■経歴
2014年 東京薬科大学大学院終了
2014年 第一三共株式会社
2016年 ファングロウス株式会社 創業
2019年 一般社団法人スーパースカルプ発毛協会(FC本部) 理事
2021年 ファングロウス株式会社 株式譲渡
2021年クーミル株式会社 創業
■得意領域
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告
オウンドメディア運用
フランチャイズ加盟店開発、集客
■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格
■SNS
X(旧Twitter):https://twitter.com/ryosuke_coomil
YouTube:https://www.youtube.com/@marketing_coomil
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目次
- 採用オウンドメディアとは
- 採用オウンドメディアと人材紹介の違い
- オウンドメディアと採用サイトの違い
- 採用オウンドメディアが注目されている理由とは
- 1.採用市場の競争激化と優秀な人材へのアプローチの必要性
- 2.働き方の多様化に対応する柔軟な採用手法
- 3.求職者の情報収集行動の変化と採用サイトの重要性
- 採用オウンドメディアの8つのメリット
- 適切な人材とのマッチングを実現できる
- 「転職するか悩んでいる」潜在層へアプローチできる
- 自社の知名度が向上する
- 自社の魅力を伝える自由度が高い
- 採用力が向上する
- 求人サイトを見た人がオウンドメディアを見ることでミスマッチ率を低下させる
- 長期的に効果をもたらす資産が構築できる
- 採用コストを抑えられる
- 採用オウンドメディアの3つのデメリット
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 専門知識が求められる
- 社内の協力体制が求められる
- 採用オウンドメディアの始め方
- 戦略を設計する
- ペルソナを設定する
- ブランディングを構築する
- CX(候補者体験)を設計する
- リソースを確保する
- 採用オウンドメディアを成功させるための3つのポイント
- 魅力的なコンテンツを発信する
- 社内で採用メディアを共有する
- 中長期的に運用を続ける
- 採用オウンドメディアの成功事例5選
- NYLE ARROWS【ナイル株式会社】
- mercan【株式会社メルカリ】
- Gunosyテックブログ【株式会社Gunosy】
- フルスイング【株式会社ディー・エヌ・エー】
- サイボウズ式【株式会社サイボウズ】
- まとめ
採用オウンドメディアとは
採用オウンドメディアは、企業が自社で運営するホームページやSNSを活用して、求職者に企業の魅力や価値観を直接伝える採用手法です。求人サイトや人材紹介会社に頼らず、自社のメディアを通じて求職者と直接接点を持てるのが特徴です。
採用オウンドメディアでは自社の個性や強みを制限なくアピールできるため、志望度の高い人材の獲得が可能になります。
採用オウンドメディアと人材紹介の違い
項目 | 採用オウンドメディア | 人材紹介 |
---|---|---|
コスト面 | 採用費なし 記事制作費のみ | 採用時にコスト発生(年収20~30%) |
アプローチ | 潜在層へもアプローチ可能 | 転職希望がある人のみアプローチ可能 |
継続性 | 継続的にアプローチ可能 | コストをかけ続けることでアプローチ可能 |
採用オウンドメディアと人材紹介の主な違いは、コストとターゲット層の広さです。人材紹介は採用成功時に報酬が発生する一方で、即効性が高いメリットがあります。
採用オウンドメディアは初期費用が必要なものの、運用が軌道に乗れば長期的にコストを抑えられます。また、オウンドメディアでは転職を検討していない潜在層にもアプローチできるため、ターゲット層の広さが特徴です。
つまり、採用オウンドメディアは人材紹介と比べて、コスト面と対象者の幅の両方で優位性があると言えます。
オウンドメディアと採用サイトの違い
項目 | 採用オウンドメディア | 採用サイト |
---|---|---|
表現の自由度について | 記事型コンテンツのため自由度が高い | サイトによって制約がある |
目的 | 魅力的な企業であることを伝える | 転職希望者の見込み度を高める |
オウンドメディアと採用サイトの主な違いは、自社の表現自由度と採用目的です。
採用サイトは即効性に優れていますが、掲載内容や表現方法に制約が多いのが難点です。対してオウンドメディアは自由度が高いため、自社の魅力を存分に発信できます。また、長期的に転職潜在層や幅広い層へアプローチ可能なので、中長期的な採用戦略に適しています。
オウンドメディアと採用サイトはそれぞれ目的が異なるため、自社の採用戦略に合わせた使い分けが重要です。
採用オウンドメディアが注目されている理由とは
採用目的としてオウンドメディアを運用する企業が増えてきています。このように集客のみならず採用を目的としてオウンドメディアが注目される理由としては以下の通りです。
1.採用市場の競争激化と優秀な人材へのアプローチの必要性
少子高齢化や売り手市場が進む中で、優秀な人材を採用する難易度は年々高まっています。従来の求人サイトや人材紹介サービスでは、転職意欲の高い層にはアプローチできますが、専門スキルを持つ方や潜在的な転職希望者には届きにくい課題があります。
採用オウンドメディアを活用すると、企業独自の情報発信が可能となり、潜在層や専門性の高い人材にも効果的にアプローチできます。
例えば、最新技術の活用事例や具体的なプロジェクト内容を詳しく紹介すると、専門知識を求めている人材の興味を引きやすくなります。また、自社の取り組みや価値観を広く伝えることで、転職を考えていない層にも興味を持ってもらうきっかけ作りが可能です。
2.働き方の多様化に対応する柔軟な採用手法
リモートワークや副業の普及など、働き方が多様化した現代では、求職者が企業に求める要素も変化しています。仕事内容だけでなく、職場の文化や価値観に共感できるかが重視される傾向にあるのです。
採用オウンドメディアでは、企業のビジョンや具体的な職場環境、働く社員の声などを発信できるため、共感を得た求職者の応募につながりやすくなります。また、多様なニーズに対応した情報発信ができるため、従来の採用手法では伝えきれなかった魅力を十分に伝えられます。
3.求職者の情報収集行動の変化と採用サイトの重要性
スマートフォンやSNSの普及により、求職者が企業を知る方法は大きく変わっています。
以前は、求人情報誌や人材紹介会社が主な情報源でした。しかし、現在は多くの方がインターネットを活用し、求人情報だけでなく企業の評判や価値観まで調べているのです。
情報収集行動の変化に対応するため、採用オウンドメディアは自社の魅力を広く発信するための重要なツールとなっています。具体的には、企業の事業内容や働く環境、社員の声など、求職者が知りたい情報を詳細に提供して信頼感を高めます。
企業のビジョンや取り組み、働き方への考え方を発信することで、価値観が一致する求職者の応募意欲を高め、従来の採用手法とは異なる深い接点を作れるのです。
採用オウンドメディアの8つのメリット
採用オウンドメディアは、従来の採用手法では得られない効果をもたらす取り組みとして注目されています。採用オウンドメディアの主なメリットを7つ紹介します。
適切な人材とのマッチングを実現できる
採用オウンドメディアでは、自社の理念や文化、事業内容を求職者にわかりやすく伝えられます。具体的なエピソードや実例を交えて発信することで、求職者が企業の価値観を理解し、自分に合う職場かどうかを判断しやすくする事が可能です。
具体例
- 社員インタビュー:
└自然な形でインタビューを行い、働く環境や仕事への取り組み方、福利厚生をより記事として届ける
└使用している技術や開発プロセスを説明し、エンジニアの採用力を強化する
└上司と脇隔てなく話してる姿をコンテンツ化し、風通しの良さをアピールする
上記のような方法を用いることで、共感性を持たせながら自社の社風や働く風景を伝える事ができます。結果として、入社後のミスマッチの軽減やより良い人材の確保へとつながります。
「転職するか悩んでいる」潜在層へアプローチできる
採用オウンドメディアは、求人サイトとは異なり、情報収集段階の潜在層に対してもアプローチする事ができます。
- 求人サイトの場合:
転職意欲が高い層のみ情報を届ける事ができる - 採用オウンドメディアの場合:
転職を悩んでいる情報収集段階の潜在層にもアプローチ可能
- 業界に関する最新動向
- 業界の課題を解決するノウハウ記事
- 企業が目指すビジョンを特集する
- キャリアアップのヒントに関するノウハウ記事
上記のようなコンテンツを積み重ねることで、求職者との接点を増やし、採用しやすい状態を構築する事ができます。
自社の知名度が向上する
オウンドメディアは、自社の知名度向上にも効果的です。
特にSNSと連携した情報発信は、これまで接点がなかった層へのアプローチに効果的です。
1:
SNSでフォロワー数を増やす
→より専門的な内容をオウンドメディアで発信
→業界における知名度が高まる
2:
オウンドメディアでノウハウ記事を発信
→オーガニック検索からの流入数増加
→検索したら出てくる「知っている」企業へ
上記のように知名度を向上させる事ができれば、採用オウンドメディア内にて発信した、「社員の日常」や「企業イベント」を見るユーザー数を向上させる事ができ、結果として求職者の興味関心を引く事ができます。
自社の魅力を伝える自由度が高い
項目 | オウンドメディア | 求人サイト |
---|---|---|
サイト上の表現について | 制限がないため、自社が最も伝えたいことを伝える事が可能 | 文字数、レイアウトの制限があるため、情報が限定的 |
上記の表のように、採用オウンドメディアは、表現方法や情報量に制約はありません。そのため、企業が最も伝えたいことや様々な角度から求職者と接点を持つ事ができます。
オウンドメディアでは写真や動画、特集ページなど多様な形式の組み合わせにより、求職者に企業の魅力を具体的に伝えられます。例えば、社員の日常業務や職場の雰囲気を感じられるオフィス紹介動画などを掲載すると、リアルな職場像を届けられます。
採用力が向上する
採用オウンドメディアの運営は、自社の採用力向上が期待できます。自社が主体的に採用活動を設計・進行するため、ターゲット層に合わせた柔軟な施策を展開できるからです。
オウンドメディアでは、求める人物像や自社の魅力を発信し、得られたデータをもとに改善を繰り返します。どのコンテンツがよく閲覧され、どの情報が応募につながりやすいのかなどの分析により、ターゲットに響くアプローチが実現可能になります。
PDCAサイクル(計画→実行→検証→改善)を継続的に回しながら採用活動の精度を高めると、単なる短期的な採用だけでなく、長期的な競争力を持った採用体制を構築できるのです。
求人サイトを見た人がオウンドメディアを見ることでミスマッチ率を低下させる
採用オウンドメディアを運営するメリットとして、求人サイトを見た人が採用オウンドメディアを見る事で「よりこの企業で働きたい」という気持ちを高めることにも寄与しています。
求職者は、求人情報だけでなくホームページ・SNS・企業の口コミなど様々な媒体から情報を収集します。採用メディアを運営していると、企業理念等をより伝える事ができるため、ミスマッチ率を低下させる事が可能です。
長期的に効果をもたらす資産が構築できる
オウンドメディアは一時的に終わるものではなく、継続的に価値を生み出す資産になります。オウンドメディアに掲載された情報は、インターネット上に半永久的に残るため、長期にわたって求職者を引き付け続けるのです。
運用を始めたてのころは目に見える成果が出にくいかもしれません。しかし、定期的な記事更新やSEO対策の徹底など、地道にコンテンツを充実させていけば、やがてオウンドメディアが自社の採用活動を支える重要な基盤となるでしょう。
採用コストを抑えられる
採用オウンドメディアを活用すると、長期的に採用コストを抑えられる可能性があります。
求人サイトやエージェントサービスを利用すると、掲載料や成功報酬が発生します。しかし、オウンドメディアは運用の継続に必要な費用を除けば、大きな追加費用をかけずに母集団の形成が可能です。
ただし、オウンドメディアの効果が表れるまでには時間が必要です。記事の更新やSEO対策を継続し、認知度を徐々に高めていくことで求人広告に頼らない採用体制が実現します。
短期的なコスト削減を期待するのではなく、中長期的な視点で取り組む姿勢が重要と言えるでしょう。
採用オウンドメディアの3つのデメリット
採用オウンドメディアは、求職者との接点を増やす有効な手段ですが、万能な採用手法ではありません。
オウンドメディアを導入する際は、いくつかの課題や注意点を理解しておく必要があります。ここでは、採用オウンドメディアのデメリットを3つ紹介します。
効果が出るまでに時間がかかる
採用オウンドメディアは、メディアの構築やコンテンツの充実が不可欠であり、成果が出るまでに時間を要します。記事の公開や更新を継続して行い、SEOやSNS運用を通じてターゲット層に情報を届けなければなりません。
しかし、こうした取り組みの効果は徐々に表れるため、短期間での応募数増加は期待できないでしょう。採用オウンドメディアは、短期的な視点ではなく、長い目で育てていく姿勢が大切です。
専門知識が求められる
オウンドメディアの運用には、マーケティングの知識やスキルが求められます。採用オウンドメディアは、自社の魅力を伝え、求職者の心を動かすことが目的です。そのためにはターゲットとなる求職者像を明確にし、ニーズに合ったコンテンツを制作しなければなりません。
また、記事の見出しの付け方や読者を引き付ける文章の書き方など、マーケティング視点での工夫が欠かせません。サイトの閲覧数やユーザーの行動を分析し、PDCAサイクルを回しながらコンテンツの改善を図ることも重要です。
社内に協力できるマーケティング部門があれば理想的ですが、ない場合は人事担当者が学ぶ必要があります。専門書やセミナーを活用し、知識を深める努力が求められます。
社内の協力体制が求められる
採用オウンドメディアの運営は、社内全体の協力が欠かせません。
社内の協力が得られなければ、運営が停滞するためです。職場の写真撮影や日常業務の取材などは、求職者にリアルな職場の雰囲気や企業文化を伝えるために重要ですが、社員の協力がなければ実現できません。
また、取材や撮影には時間が必要なため、現場に過剰な負担がかかることも懸念されます。そのため、スケジュールを調整し、社員の負担を軽減する仕組みを整えることが重要です。
スムーズな運営体制を構築するためには、社内全体でオウンドメディアの目的を共有し、協力の意義を伝えることが欠かせません。
採用オウンドメディアの始め方
採用オウンドメディアの運用を始めるには、事前の準備が欠かせません。ここでは、採用オウンドメディアに取り組む際の5つのステップを詳しく見ていきます。
戦略を設計する
オウンドメディアの運用を始める前に、採用活動全体の戦略を明確にする必要があります。まずは、求める人材像を具体的に定義することから始めましょう。どのようなスキルや経験、価値観を持つ人材を採用したいのか、イメージを明確にします。
次に、採用の目標数を設定します。事業計画にもとづき、必要な人員数を算出するのがポイントです。適切な目標を設定すると、オウンドメディアの運用方針も定りやすいしょう。記事の更新頻度やターゲティングの方法など、具体的な施策が見えてきます。
採用戦略の設計は、オウンドメディア運用の土台となる重要なプロセスです。自社の強みを生かしつつ事業の成長に必要な人材を見据えて、綿密な計画が求められます。
ペルソナを設定する
オウンドメディアで発信するコンテンツを最適化するには、ペルソナの設定が欠かせません。
ペルソナ:採用対象となる理想的な人物像のこと
具体的な個人を想定し、その特性や行動パターンを詳細に描き出します。
ペルソナ設定では、年齢や性別、職種といった基本的な情報だけでなく、その人物のキャリア志向や価値観、ライフスタイルなども考慮します。例えば「ITスタートアップでの経験を活かして、新しい事業に挑戦したいと考えているエンジニア」といった具合です。
ペルソナを起点に記事内容を検討すると、読者の心に響くコンテンツを制作しやすくなります。
ブランディングを構築する
オウンドメディアを通じて自社の魅力を効果的に伝えるには、一貫したブランディングが必要です。候補者に響くブランドの価値観やメッセージを整理し、それにもとづいてコンテンツを制作します。
例えば「挑戦を続ける企業文化」を打ち出すなら、新しい取り組みに挑戦する社員の姿を記事で紹介するのも一案です。「多様性を尊重する職場環境」をアピールするなら、さまざまなバックグラウンドを持つ社員のインタビュー記事を掲載するのが効果的でしょう。
オウンドメディア内の記事に統一感を持たせると、自社の魅力がより伝わりやすくなります。
CX(候補者体験)を設計する
オウンドメディアを成功に導くには、候補者体験(CX)の設計が重要です。応募から内定・入社に至るまでの一連の流れを候補者の視点で見直し、それぞれの場面で最適な体験を提供するための施策を考えましょう。
例えば、応募フェーズでは魅力的な求人情報の掲載や、応募しやすい環境の整備が求められます。選考中は丁寧なコミュニケーションを心がけ、リラックスした面接を実施するのがポイントです。内定後も、入社への意欲を高めるコンテンツの配信などが効果的でしょう。
オウンドメディアは採用プロセスのあらゆる場面で活用できます。自社への理解を深め、入社意欲を高めるための情報発信を工夫することで、優秀な人材の獲得と定着につなげられるはずです。
リソースを確保する
オウンドメディアの運用には、一定のリソースが必要です。専任の担当者を置き、記事の企画や制作、公開までを一貫しておこなえるのが理想的でしょう。しかし、人事部門だけでは手が回らないこともあります。
人事部門だけでリソースを確保するのが難しい場合は、他の部門から協力を得るとよいでしょう。マーケティング部門や広報部門が関わると、記事の執筆や編集、画像の選定といった作業を効率よく進められます。
また、外部のライターやデザイナーに業務を委託するのも一つの選択肢です。予算と相談しつつ、最適な形でのリソース確保が求められます。
採用オウンドメディアを成功させるための3つのポイント
採用オウンドメディアを軌道に乗せるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、採用オウンドメディアを成功に導く3つのポイントを見ていきましょう。
魅力的なコンテンツを発信する
魅力的なコンテンツの発信は、採用オウンドメディアの成果を上げるための基本です。ターゲットに響くコンテンツを作成するためには、業界や職種に関連したトレンド情報や、働き方に関する具体的な内容が求められます。
例えば、在宅勤務の取り組みやフルリモート勤務を支援する制度について解説すれば、柔軟な働き方を求める優秀な人材にリーチできます。また、エンジニア採用であれば、自社が使用している最新技術やシステム開発のプロセスについて紹介する技術広報が効果的です。
専門性の高い記事は、情報収集に意欲的な優秀層を惹きつけるだけでなく、企業の技術力や成長環境をアピールする手段にもなります。
社内で採用メディアを共有する
採用オウンドメディアは、社内の協力を得ることでさらに効果を発揮します。
外部への発信だけでなく、社内の従業員にもオウンドメディアを広めると、従業員が企業の価値を再認識する機会になります。これにより、従業員のモチベーションが高まるため、従業員紹介(リファラル採用)の活性化にも期待できるでしょう。
また、記事をシェアするよう依頼すれば、SNSを通じてより多くの潜在的な求職者に情報を届けることも可能です。
中長期的に運用を続ける
採用オウンドメディアは効果を実感するまで時間がかかるため、長期目標と短期目標を明確に設定し、地道な改善が求められます。
短期目標としてはPV数や検索順位の向上、SNSのフォロワー数を設定し、定期的に進捗を確認します。長期目標では、応募数や選考通過率、入社後の定着率など採用活動全体のKPIを設定するとよいでしょう。
目標をもとにPDCAを回し運用を継続できれば、効果的な採用活動を実現できるはずです。
採用オウンドメディアの成功事例5選
採用オウンドメディアの運用を始める企業が増える中、成功事例から学ぶべきポイントは多いでしょう。ここでは、特色ある採用オウンドメディアを展開する5社の事例を見ていきます。
NYLE ARROWS【ナイル株式会社】
デジタルマーケティング企業のナイル株式会社は、「NYLE ARROWS」という採用オウンドメディアを運営しています。もともとは「ナイルのかだん」という名前でスタートし、多くの記事を公開してきました。
2022年7月には、コーポレートロゴのモチーフである矢をメディア名に取り入れ「変革の矢」という思いを込めたリニューアルを実施します。ブランディングを意識した戦略的な運営が特徴です。
また、エンジニアやデザイナー、マーケターなど、多岐にわたる職種の社員インタビューを掲載しているのも魅力の一つです。各部署の仕事内容や雰囲気を伝え、多様な人材に魅力を配信しています。
mercan【株式会社メルカリ】
「mercan」は、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの採用オウンドメディアです。社員インタビューや事業の取り組み、技術解説など、社内のさまざまな情報を発信しています。
更新頻度が高く、月に10本以上の記事を公開し、常に新鮮な情報を届けています。また、経営陣自らが記事執筆に参加し、自身のSNSでシェアするなど、全社を挙げてオウンドメディアを盛り上げている点も注目です。
記事に関連する求人情報を掲載するなどコンテンツと採用の連動も意識しており、応募につなげる工夫が随所に見られます。
Gunosyテックブログ【株式会社Gunosy】
情報キュレーションアプリ「グノシー」を提供する株式会社Gunosyは、エンジニア特化型の採用オウンドメディア「Gunosyテックブログ」を展開しています。全社向けのオウンドメディアとは別に、技術者目線での情報発信をおこなっています。
エンジニアが求める専門的な情報を丁寧に解説しているのが特徴です。社内の開発体制や使用技術など、職人気質のエンジニアが知りたい情報を的確に伝えています。シンプルなデザインと文字情報を重視したコンテンツは、エンジニアの心をつかむ工夫と言えるでしょう。
フルスイング【株式会社ディー・エヌ・エー】
インターネットサービス企業の株式会社ディー・エヌ・エーは、「フルスイング」という採用オウンドメディアを運営しています。同社がオーナーを務めるプロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」にちなんだネーミングが特徴です。
「フルスイング」の中心となるのは社員インタビューで、各部署で働く人物にフォーカスし、仕事内容や社風を伝えるコンテンツを充実させています。人を通して企業の魅力を発信する手法は、参考になるはずです。
サイボウズ式【株式会社サイボウズ】
「チームワークあふれる働き方」を実現するグループウェアを提供する株式会社サイボウズの採用オウンドメディアが「サイボウズ式」です。「カイシャ・組織」に関する情報発信だけでなく「働き方・生き方」や「家族と仕事」など、社員一人ひとりにスポットを当てたコンテンツが目を引きます。
「サイボウズのことを全く知らない人に、サイボウズを好きになってもらう」というコンセプトのもと、社員のリアルな声を通して、同社の魅力を伝えています。チームワークの良さや従業員エンゲージメントの高さを感じさせる記事は、求職者の共感を呼ぶはずです。
まとめ
採用オウンドメディアは、企業が自ら主体となって採用活動を設計・運用し、企業独自の魅力を発信できる効果的な手法です。転職潜在層へのアプローチや長期的なコスト削減、認知度向上などのメリットがあります。
ただし、成果が出るまでに時間がかかったり、専門的な知識が求められたり、社内での協力体制を整える必要があったりと、いくつかの課題も考慮しなければなりません。
中長期的な視点を持ちながら、採用オウンドメディアを効果的に活用していきましょう。